噛み合わせ治療

 
噛み合わせって?

 
近頃噛み合わせについてTVや雑誌で取り上げられることが多いですが、いざ「噛み合わせ」と言われても自分は良いのか悪いのか、具体的なことはわからない方が多いのではないでしょうか? 例えば、歯の治療をして詰め物(被せ物)をしたときに、被せる前の状態と被せた直後の状態で、被せた歯が少し高いと違和感を感じたり「そのうち慣れますよ」と言われたことはありませんか?それは、被せたことによって噛み合わせが変わってしまった、もしくはズレた可能性が高いと思われます。また、何年も前に被せたためにアゴがズレて歯が馴染んでしまった場合も考えられます。

 もう1つの例をお話しましょう。食事の際に決まった方ばかりで噛む「噛みグセ」をつけている方が多いと思われます。クセがつくのは、噛みやすい側の歯が反対側より先に歯が当たる、つまり右と左の歯が同時に接触していないためです。首肩のコリや痛み、頭痛等が噛みやすい側に偏っている場合は、噛み合わせのズレによることが考えられるので、噛み合わせを正す必要があるのです。早めに専門的な診断、検査をされることをおすすめします。
 

噛み合わせの検査

 

噛み合わせ検査は、噛み合わせ治療を実践している専門の歯科医院で可能です。まだまだ医院の数は少ないですが、噛み合わせの悪さから来る「肩こり」や「頭痛」、「めまい」などの不定愁訴の改善や将来の健康維持のためにとても大事なことと考えています。

検査は医院によって様々な種類があります。当院ではまずフェイスボートランスファーによる「噛み合わせ検査」をします。噛み合わせの状態を詳しく把握し、治療方針を患者さんと相談をするのが次段階の「咬合診査、診断」です。
 治療方法の一つの選択肢として、歯の被せ物によって高さがあっていない歯を中心に調整し、全体のバランスを整える「咬合調整」で多くの方が改善の道を辿っていきます。この「検査」から「診断」、「調整(1回)」までが噛み合わせ治療の一連の流れになっていて、費用は8000円。保険適用外ですが、専門医による的確な検査と調整が受けられるのが特徴です。

噛み合わせが悪いまま放っておいても大丈夫なのでしょうか

 

「〈頭痛〉や〈肩や首のコリ〉、〈めまい〉など、原因不明の不定愁訴でお悩みの方は少なくありません。それらの原因の一つとして、噛み合わせというものも考えられるのです。歯は人にとってとても重要で、歯並びだけにとどまらず、体の歪みや全身症状まで影響を及ぼすこともあります」
 
—噛み合わせが良い、悪いの判断の方法は?
「食事の際に決まった側ばかりで噛むくせがある。また、歯の治療の際に詰めた歯が高い気がして違和感があるなどは要注意。噛み合わせ専門の医師にご相談をされた方が良いでしょう」
 
—検査の方法について教えてください
「専用の器具を使い、歪みを正確に測っていきます。そこで噛み合わせの状態を詳しく把握し、治療方針を患者さんと相談します。患者さんによっては削って高さを調整するだけで『症状が楽になった』との声が聞かれることもあります。まずは検査をしてみてはいかがでしょうか」

歯周病は老化現象でしょうか?

成人の約8割が歯周病だといわれているのはご存知の方も多いでしょう。「予防にはブラッシング」というのは当然で、入念な歯磨きや定期的な歯石取り等をされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、歯周病はこれだけでは防ぐことはできません。歯周病の大きな原因は「細菌」と「力」です。細菌とは虫歯菌等がそうで、ブラッシング等で自己コントロールできるもの。一方、力とは、噛みあわせが悪いために一カ所の歯にストレスがかかりすぎること。長年衝撃を受け続けた歯はグラグラし、ついには歯周病になってしまうのです。こればかりは、自分で治すことはできません。 詰め物を被せた時に「なんかしっくりこない」「浮いた感じがする」と感じたことはありませんか?これは噛み合わせのズレが考えられます。しっかり噛めないと歯の調子も悪くなり、肩こりや頭痛の原因にもなりかねません。体全体の歪みが生じ、様々な症状をもたらすことも。「歯周病は老化現象」と捉える方も多いですが、咬合(噛み合わせ)の力を調整すれば良くなる場合も少なくありません。グラグラが治まったという話もあります。一度咬合診断をしてみてはいかがでしょうか。歯のあたる部分を削ったり、矯正治療をすることが改善への近道です。

頭痛・肩コリは歯が関係しているの?

全ての場合でそうとは言えませんが、食べ物を片方ばかりで噛む「噛みグセ」によって頭痛が生じてくることは十分考えられます。口の片方の筋肉がつっぱり、それが首や肩の筋肉にまで影響し、痛みを伴うのです。 ここで一つの症例をご紹介しましょう。この方は当医院スタッフのお母様で、50代の女性、以前から頭痛や吐き気、めまいが酷く、月に数回は起き上がれないこともあたようです。気分が優れず、トイレに長時間うずくまることもあったといいます。スタッフに連れられて医院まで来られました。専用の器具で噛み合わせのチェックをしたところ、噛んだときに、真っ先に強くぶつかる場所(歯)が見受けられました。本来ならばいくつもの歯に均等に力が分散するのが健康な状態なのですが、この女性の場合は通常噛む位置と、歯がラクに噛める位置が一致していませんでした。そこで、強く当たる箇所を削って調整しました。そうすると「しっかり噛めて、とてもスッキリした」とすぐに効果を感じられた様子で、今は月数回の通院を心待ちにしているようで、こちらとしても嬉しい限りです。 

 

頭痛・肩コリは歯が関係しているの?(後編)

頭痛や吐き気、めまいが酷く、起き上がれないこともあったという50代の女性が、噛み合わせ治療によって、不調が改善してきたという例を前回お話ししました。この女性の場合、通常噛む位置と、歯が楽に噛める位置が一致していなかったため、強く当たる箇所を削り噛み合わせを調整しました。なぜ、症状が改善したのかをお話しします。 食べ物を片方で噛む「噛みグセ」の悪さ、また、歯科治療の詰め物の高さがあわないなどで、歯に歪みが生じる場合があります。噛み合わせが悪いと顎周辺が慢性筋肉痛のようになり、首の張りや頭痛、肩こりなどの身体症状に繋がることも考えられます。放置しておくと、次第に体の軸がぶれて、体全体に歪みが広がり様々な不調をきたす可能性もあるのです。そのため、歪みの原点とも言える歯を正し、全身を改善に向かわせる必要があると考えます。それが歯だけにとどまらない、全身のための「噛み合わせ治療」なのです。 私がお伝えしたいのは「口も臓器の一部」ということ。食べ物が入ってくる健康の入口であり、元気の源と考えます。そこに問題があっては、健康な体づくりは難しい。良く噛める、笑顔になれるは健康のバロメーターです。噛み合わせを良くして、不調やストレスから開放されましょう。


日本顎咬合学会(にほんがくこうごうがっかいは、The Academy ofGnathology and Occlusion:AGO)とは、顎咬合学を中心とした歯科医学を取り扱う専門学術団体の一つである。特定非営利活動法人。日本歯科医学会の認定分科会です。